安曇野で木壁画をつくっていらっしゃる
あさのたかをさんの工房に
木の匠たち展・事務局の面々がお邪魔してきました。
あさのさんの作品は木壁画だけでなく、
タイルアートや切り絵、なわて通りのカエルまで(!)
いろいろなところにあるので
信州を訪れた方なら、きっと一度はご覧になっているのでは。
しられざるあさのさんの制作の現場と
興味深い仕事のお話をご紹介いたします。
お邪魔した場所:あさのたかをデザインオフィス
お邪魔した日:2010年11月27日
お邪魔した人:飯島正章、狐崎ゆうこ、花塚光弘、前田大作
あさのさんの仕事場は立派だった。
うちと違って雨漏りとか、地震で崩れる心配は全くなさそうだ。
部屋の数もたくさんある。作品を展示している部屋、あさのさんの机がある部屋、材料の棚がある場所、スタッフの部屋、印刷の部屋、大型機械の部屋などなど。
製品は分業で作っている。私は毎年3ヶ月以上スプーンなどの小物つくりをしていて、初めは材料は軽いし手順も簡単なので楽しいのだが、塗装する頃になると同じ姿勢が続くため、肩が痛い腰が痛いもういやだ!という気分になってくる。ここのスタッフさんたちは、糸のこやサンディングをずーっとやっているのだ。糸のこ(ドイツ製)は何台もつぶしたそうだ。サンディングではパーツが小さすぎて(箸の先みたいなのもある)、指を削っているようなものだとのこと。ああ恐ろしい。
そう、あさのさんはスタッフを8人抱える「社長さん(所長さん?)」でもあるのだ。彼は催事の企画を立て、注文に応じて絵を描き、年25回もデパートの展示会に出かける。「ジェットエンジンを搭載してるの?」というくらい精力的な人だ。
木壁画の図面は手描き。パソコンは使わない。予算に応じてデザインに手を加えてピースの数を調整する。あんな細かい図面を書き直すのか!今作っているのは、お客さんの飼い猫のリアルな肖像画、25枚。ペットを絵に残したい人は結構たくさんいるらしい。
そして今は「鉄道」をテーマにした計画が進行中。次は全国の鉄ちゃんがお客さんになるのか?
あさのさんの工房へお邪魔してきました。
ファインビュー室山で有名な、室山の麓に位置するロケーション。
あさのたかをデザインオフィスはリンゴ畑にかこまれた素敵な場所にありました。
あさのさんは、木壁画というジャンルで木の匠たち展に参加していらっしゃいます。
はじめはこの木壁画、という言葉がよくわからなかった事を思い出します。
けれど、あさのさんの作品を目にすれば、誰しも納得。
木の持つ色や木目の表情が、ひとつひとつのパーツとして緻密に組み合わされ全体をみれば見事な絵の世界がそこに広がっている。
ときに、アルプスの遠景などの信州の原風景。ときに、信州の野に咲く愛らしい草花たち。
あるいはお客様の飼われているペットの猫たち。
樹々のもつ個性を活かす感性と細かな作業でそれを実現する技術力。
元松本民芸家具の職人さんや糸鋸作業ウン十年のあさのさんの義妹さんをはじめ
大勢のスタッフさんとの共同作業によるあさのさんの仕事場は
木工作家の工房というよりも、あさのさんワールドを実現するまさにデザインオフィスなのでした。